Lesson2-8 幼児期③

このレッスンでは、幼児期の発達のうち、
主に子どもの「感情」に焦点を当てて学習を深めていきます。

自己意識と感情

前回のレッスンで学習したように、
1歳半ごろに鏡を見て「自分だ」ということが認識できるようになると、
自己意識が芽生えていきます。

自己意識が芽生えると、
他者に自分はどのように見られているのかを意識するようになり、
「照れ」「羨望」「共感」などの感情も生まれます。

1歳半ごろに獲得するこれらの感情のことを、
「自己意識的感情」と言います。

例えば褒められると照れたり、
泣いている子を見るとなでてあげたりといった行動も
見られるようになります。

2歳半ごろになると、さまざまなルールや規則を学び、
して良いこと、だめなことを理解し始めます。

それに伴い、ルールに反してしまう行動をしてしまった時には
「罪悪感」「恥ずかしさ」を感じ、
また褒められた時には「誇り」を感じたりするようになり、
複雑な感情を獲得していきます。

この時期の感情の発達には、
他者との関わりが深く影響しています。

きょうだいや友だちとの関係が広がる中で、
さまざまな感情を経験していくようになるのです。

イヤイヤ期

何をしようとしても「イヤ!」と、
泣いたりわめいたりする第一次反抗期。

「イヤイヤ期」や、「魔の2歳児」とも言われる時期です。

この時期は養育者の頭を悩ませる時期です。

しかし、これも発達段階の1つなのです。

なぜこの時期、子どもはこのようにかんしゃくを起こすのでしょうか。

やりたいことをできないもどかしさ

この時期の子どもは、
使える言葉が徐々に増え、食事や身支度も自分でやりたがります。

しかし、まだまだ自分の気持ちを表現できる語彙が少なく、
できることも限られています。

そのもどかしさを、「イヤ!」というシンプルな言葉や、
ものを投げる、大泣きする、だだをこねる、という行動で
表現しようとするのです。

色々なことができるようになってきたけれど、
思い通りににはいかないことを経験する。

その気持ちを「イヤ」で表現する。

それに対して養育者に対応してもらう。

この流れを経験するのは、
子どもの心の発達にとって重要なプロセスになります。

イヤイヤ期の接し方

イヤイヤ期がくることを知っていても、
それでも子どもへの対応に頭を悩ませる養育者は少なくありません。

イヤイヤ期への対応には、正解も不正解もないのです。

養育者はなるべくストレスを溜めずに、
イヤイヤ期は成長の一過程であることを理解し、
子どもを尊重しながら見守るようにしましょう。

子どもが「イヤ!」と言い始めたら・・・

子どもの「イヤ」には必ず理由があります。

何に対して「イヤ」と言っているのかを理解し、
子どもが表現できない気持ちを代弁してあげましょう。

例)子どもが服を着るのを嫌がったら・・・。

養育者:「違うお洋服を着たかったのかな?」
    「自分でボタンをはめられなくて悔しかったのかな?」

など。

子どもの嫌がる様子をよく観察して対応してあげることで、
子どもは、

「気持ちをわかってもらえた」
「自分は大切にされている」

と感じることができます。

成長して3歳を過ぎるころには、
自分の気持ちを言葉で表現できるようになっていくので、
「イヤイヤ」と泣きわめくよりは、
言葉でちゃんと伝えるようになっていきます。