Lesson2-12 児童期②

形式的操作期

具体的操作期を経て、
小学校高学年になると「形式的操作期」へ移行していきます。

具体的操作期では、論理的な思考ができるようになりましたが、
その能力は具体的なこと(自分が経験したこと)に限られていました。

それが形式的操作期になると、
推測を用いて思考ができるようになり、
抽象的な概念についても考えられるようになります。

例えば、

「A君はB君より背が高く、B君はC君よりも背が高い。
では、A君とC君ではどちらの方が背が高い?」

という質問に、具体的操作期の子はなかなか答えられませんが、
形式的操作期の子は答えられるようになります。

抽象的な概念を考えたり、推測にもとづいて思考する能力の獲得により、
問題解決能力もだんだん伸びていきます。

劣等感と自尊心

幼児期の子どもは「自分はすごい」と自分自身を評価していますが、
成長とともに自分への評価は変わっていきます。

脱中心化を果たし、
他者の視点から世界を見ることができるようになった児童期は、
他者と自分を比較するようになり、
次第に自分に対して劣等感を抱くようになります。

自分と他者を比較して、社会的な自分の位置を確かめることを、
「社会的比較」と言います。

多少の劣等感を抱くことは成長過程では誰にでも見られることですが、
劣等感が強すぎると自信が持てず、やる気もなくなってしまいます。

友だち関係

6歳を過ぎると子どもは相手の立場に立って考えられる能力を獲得していき、
友だちだけで過ごすことを好むようになります。

幼児期〜小学校低学年までは、
子どもは家から近い子と一緒に遊ぶ傾向がありますが、
成長とともに気が合う子や、
勉強やスポーツができる子を友だちに選ぶ傾向があります。

9歳以降になると、
同性の友人との関係性が強くなり、
小さなグループを作ったりもします。

女児の友人関係は「絶交して仲直り」など、
時に激しさが増す時期もあり、
友人関係が難しいと感じることもあるでしょう。

一方で、友だちが増えて関わる時間も長くなっていくと、
さまざまな意見を聞く機会を得て、
それが価値観にも影響を与えるようになります。

重要な存在が親から友だちになっていく中で、
親の言うことが必ずしも正しいわけではないと、
気がつく時期でもあるのです。

友人関係で悩んだら

学校ではみんなが仲良くすることが求められますが、
どうしても気が合わない子というのは多少なりともいます。

養育者は、子どもに嫌いな子がいて友人関係で悩んでいたら、
まずはその気持ちを受けとめてあげると良いでしょう。

学校は仲間と一緒に学ぶところなので、
嫌いだからといって一緒に学ぶことを拒否することはできません。

たとえ好きにはなれなくても、互いの違いを尊重し、
グループワークなどで必要な時には協力し合うことの大切さを
伝えてあげてください。


次のレッスンも、児童期の発達について学習を進めます。