Lesson2-11 児童期①

児童期は6歳〜12歳ごろの子供の時期を指します。

小学校に入学し、
遊び中心の生活から勉強中心の生活にシフトしていきます。

子どもたちは新たなルールを学び、
さまざまな役割の中で集団生活をしていくことになります。

このレッスンからは児童期の子どもたちがどのような発達をしていくのか、
学習していきましょう。

身体と運動スキルの発達

児童期に入ると世界がぐんと広がるため、
それに伴い活動量が増えていきます。

活動水準が高くなるため、自己制御ができない場面も増えるでしょう。

激しく動き回るのを周囲の大人はできるだけ咎めずに、
子どもがエネルギーを発散できるように、
環境を整えてあげる必要があります。

学校に行っているため自由に遊べる時間が少ないので、
時間がある時に外で運動をするように促すようにしましょう。

粗大運動スキルは成長を続け、
統合的な運動スキルの発達が進みます。

10歳ごろまでには、バランス感覚、敏捷性、柔軟性の向上に必要な
粗大運動スキルが発達します。

例えば走ってジャンプするバスケットボール、
筋力と柔軟性を使って体操、というように、
スポーツも上手になります。

運動能力が発達すると、
予期せぬ怪我が増えやすくなるため、
まだ大人が見守る必要があるでしょう。

女児の性的発達

卵巣で分泌されるエストロゲン濃度の上昇が、
女児の身体の成長発達を促します。

9歳以降になると、女児は急速に身体が発達し、
体脂肪が蓄積されます。

急激に身長が伸びるので、
足や背中などに成長痛が生じることもあります。

10歳ごろからは胸も成長し始め、
ホルモンの影響で腕、足、脇、性器周辺に毛が生え始めます。

早い子では、月経が始まる子(初経)もいるでしょう。

男児の性的発達

男児はテストステロンの上昇により、
身体が発達していきます。

体格に変化が見られ、肩幅が広くなったり、
太もも、ふくらはぎ、上腕が大きくなっていきます。

思春期が始まると性器のサイズも大きくなり、脇毛、髭、陰毛が生えます。

声変わりも起こります。

初めての射精(精通)を経験し、
勃起の回数が増えるのを経験しますが、
ホルモン分泌の増加による影響のため正常なことです。

具体的操作期

ピアジェの発達段階では、
7歳〜11歳ごろまでを「具体的操作期」としています。

この時期に獲得する主な能力には、次のようなものがあげられます。

保存概念

「前操作期(※)」の子どもはものの見た目に惑わされるため、
同じ量の水を背の高い容器と低い容器にそれぞれ入れると、
背の高い容器の方が水の量が多いと認識しましたね。

Lesson2-8を復習しましょう。

7歳以降の子どもは保存概念を獲得するので、
容器が変わっても「量は同じ」と認識することができます。

保存の概念の種類によって、
次のように獲得時期は少しずつ異なります。

  1. 数(7歳〜)
  2. 長さ(7,8歳〜)
  3. 重さ・量(9歳〜)
  4. 面積・体積(9歳〜)

分類する能力

学童期の子どもはモノを分類する能力を獲得します。

例えばキャラクターカードを分類する時、
キャラクターの強さや、スキルに従って分類できます。

可逆性の理解

これは保存概念に関連しますが、
モノを変化させても、また元の状態に戻せることを理解できます。

例えば、粘土の形を変えてもまた元に戻せることや、
算数では引き算の逆が足し算、
かけ算の逆がわり算であることがわかります。

自己中心性から脱中心化へ

幼児期の特徴としては、自己中心性がありました。

児童期になると他者の視点でも物事を見たり
考えたりできるようになります。

これは、ピアジェの研究で有名な「三つの山課題」でも
確認できます。

7歳以降では、3つの山を、自分のところから見た時と、
別のところから見た時では、
見え方が違うということが理解できます。

9歳以降になると、それぞれの視点からはどのように見ることができるか、
正しく答えることもできるようになります。

この空間的な他者への理解は、
他者の気持ちという見えない部分を想像し理解する能力にも
関連することがわかっています。


次のレッスンも、児童期の発達について学習を進めます。