Lesson2-2 胎児期・新生児期

胎児期

人の一生は、お母さんのおなかにいる時からすでに始まっています。

出産経験がある人なら、妊娠中の超音波検査で、
おなかの中で元気に動いている赤ちゃんを見て感動したのを
覚えているのではないでしょうか。

おなかの中にいる時、
赤ちゃんの体は少しずつ成長しています。

生まれる準備

母親が胎動を感じるのは、妊娠20週ごろが多いです。

しかし、赤ちゃんはそれ以前からおなかの中で生まれる準備をしています。

妊娠8週ごろには全身を動かしたり、
12週頃までにはしゃっくりやあくび、顔を触ったり、
口を開けたり閉じたりといった動きが見られます。

これは生まれた後に必要な動きを、
おなかの中で練習していると考えられています。

五感の発達

五感の中でも、妊娠10〜12週ごろに鼻や唇などへの触覚反応が見られ、
その後も口を触ったり指を触ったりする様子が見られるようになります。

妊娠16週以降には、味覚と嗅覚が発達していきます。

羊水を飲んで、母親が食べたもののにおいや味覚を感じています。

妊娠20週ごろまでに耳の基本構造が発達し、
それに伴って音が聞こえるようになります。

母親の心臓の音や、血流の音、おなかの外の音も聞いています。

妊娠24週以降に、眼球などの器官が発達しますが、
おなかの中は暗いため、ものを見るのは出生後になります。

それでも、おなかの中で光を感じることはできます。

新生児期

生まれたばかりの赤ちゃんは、
すでに音を聞き分けられます。

おなかの中で母親の声をたくさん聞いていたので、
特に母親の声に強く反応することがわかっています。

視力は0.01〜0.02ほどしかないため、
ぼんやりとしか見ることができません。

しかし、ピントを調整する力はないものの、
ピントは20〜30cmのところに合っており、
抱っこしている人の顔は見えています。

動くものを目で追う追視は、生後すぐではゆっくりしかできませんが、
2〜3カ月ぐらいにはスムーズに追視ができるようになっていきます。

赤ちゃんの動き

生まれたばかりの赤ちゃんの動きは、自発的に動かしているのではなく、
ほとんどは反射的な動きになります。

原始反射

その1つが原始反射です。

原始反射は、特定の刺激に対して反射する動きです。

例えば、生まれたばかりでも赤ちゃんはすぐに母乳を飲むことができます。

また指を赤ちゃんの手のひらの置くとギュッと握ります。

これらも原始反射になります。

原始反射については次の表で確認してみましょう。

赤ちゃんの主な原始反射動き
吸啜反射(きゅうてつはんしゃ)唇に触れたものを強く吸おうとする。
出生後まもない赤ちゃんが母乳を飲めるのは
この反射のおかげ。
把握反射 ※写真①参照手のひらに刺激を与えると、
しっかりと握りしめる。
モロー反射別名、抱きつき反射。
大きな音、強い光、振動といった刺激を受けると、両手を広げてしがみつこうとする。
歩行反射脇の下を持って立たせ、両足を床につけると、両足を動かして歩こうとする。
緊張性頸反射(きんちょうせいけいはんしゃ)
写真②参照
仰向けの赤ちゃんの顔を左右どちらかに向けると、向けた方の手足を伸ばし、反対側の手足を曲げる。
バビンスキー反射足の裏をかかとからつま先に向かってゆっくり擦ると、親指が反り返り、他の指は開く。
①把握反射
②緊張性頸反射

原始反射は乳児期の初期に見られますが、数カ月で消失し、
その後は自分の意思で身体を動かすように(随意運動)なっていきます。

原始反射は赤ちゃんに共通して見られる反応であるため、
赤ちゃんの発達が順調かどうかの基準にも用いられます。

ジェネラル・ムーブメント

ジェネラル・ムーブメントは、赤ちゃんが手足をバタバタさせる動きです。

この動きはおなかにいる時から見られるようになり、
生後、随意運動が始まる頃(3カ月ごろまで)になくなります。


子どもの発達は、母親のおなかにいる時からはじまっていることがわかりましたね。

次のレッスンでは、
新生児期以降の乳児期について学習していきましょう。