Lesson2-3 乳児期①

このレッスンからは、乳児期の身体と心の発達について解説します。

全身運動の発達(粗大運動)

運動の発達には一定の法則があり、

発達の順番は、

  • 頭部→手足
  • 胴→肩・腕・手・指先

となります。

赤ちゃんはまず頭がまっすぐ保てるようになると、
次に首がすわり、腰が発達して座れるようになり、ハイハイへと進みます。

このように全身をバランスよく使う運動のことを、
「粗大運動」と言います。

生まれてすぐに歩いたりする赤ちゃんがいないように、
一定の段階を経て発達してはいくものの、
発達の速度には個人差があります。

例えば、ほとんどハイハイしないでつかまり立ちをはじめる子もいれば、
歩きはじめるのが早い子、
なかなか歩かない子など、その発達スピードはさまざまです。

発達は環境や遺伝に左右されるので、
必要以上に平均値を気にすることはありません。

運動機能の発達目安

0カ月ごろ胎児の姿勢
1カ月ごろうつ伏せにすると頭をまっすぐに保つ。
2カ月ごろうつ伏せにすると胸から体を持ち上げる。
3〜4カ月ごろ首がすわる。
6カ月ごろ寝返りする。
7カ月ごろ支えがなくてもお座りする。
8カ月ごろハイハイする。
9カ月ごろつかまり立ちする。
12カ月ごろ支えなしで立つ。つたい歩きする。数歩歩く。
1歳半ごろ歩く。

誰かに抱っこしてもらわなければ移動できなかった赤ちゃんは、
ハイハイができるようになると自分の意思で移動可能となります。

それに伴ってさまざまなものに興味を示して世界がぐんと広がり、
さらに心身の発達が促されていきます。

手指の発達(微細運動)

粗大運動ができるようになると、
少し遅れて微細運動ができるようになります。

微細運動とは、手指を使う細かい運動スキルのことです。

前回のレッスンですでに学んだ原始反射でも手を動かしますが、
それは手指を使う複雑な動きではありません。

微細運動で赤ちゃんが見えるものに手を伸ばしてつかむ動作(リーチング)は、
意外と難しいものです。

目で対象のものを見ながら距離をはかり、手を伸ばしてつかもうとしても、
最初はうまくいかないことが多いですが、
練習を重ねるうちにだんだん上手に手の動きを調整できるようになり、
つかめるようになっていきます。

手指の発達段階

0〜2カ月ごろ手はほとんどグーの形。
原始反射でギュッと握ることはあるが、
自分の意思ではない。
2〜3カ月ごろガラガラなどおもちゃを持たせれば、握る。
4〜6カ月ごろ目の前の興味あるものに手を伸ばし、つかむ。
取ったものを口に持っていき、舐める。
7〜9カ月ごろハイハイができるようになると、
いろいろなものに手を伸ばすようになる。
イタズラも増える。
10〜12カ月ごろ親指と人差し指で、ものをつかむ。
指差しもするようになる。
12カ月〜18カ月ごろ指先の使い方がさらに発達し、
積み木で遊んだり、スプーンを使ったりする。

手でものをつかめるようになると、
それをなめたり、ふったり、投げたりします。

赤ちゃんはこのようにして自分の手を上手に使うことを学び、
五感を使って自分のまわりの世界を広げていきます。

ちなみに、赤ちゃんがものをすぐに口に持っていって舐めるのは、
口と口周辺の触覚が発達しているためです。

だからはじめてのものと接する時は、
まず口の触覚で確かめようとするのです。


赤ちゃんの運動機能の発達について学習しました。

赤ちゃんの一般的な発達段階を知ることで、
「どうして赤ちゃんてこんなことするの?」
という赤ちゃんの行動の不思議が理解できたのではないでしょうか。

次のレッスンでも、引き続き乳児期の発達について学習を深めます。