Lesson2-4 乳児期②

このレッスンでは乳児期の発達の中でも、
赤ちゃんのコミュニケーションについて解説します。

泣く

まだ言葉を使えない赤ちゃんは、
「泣く」という行為で周囲とコミュニケーションを取ります。

泣くことで、不快感やおなかがすいたなどの状態を周囲の人に訴え
対応してもらうことができます。

この「泣く→周囲が反応して対応する」

ということを繰り返すうちに、
自分が泣くことを通して周囲に働きかけることで、
周囲の人が反応し自分の欲求が満たされる、
ということを理解するようになります。

新生児が泣くのは、ほとんどが空腹、おむつ、眠い、寒い、暑いといった、
「不快」を取り除いてほしいからです。

それも成長とともに変化し、
泣く理由や泣き方のバリエーションが増えていきます。

泣きのバリエーション

生後6カ月にもなると、赤ちゃんには喜怒哀楽の感情が芽生えます。

感情の発達に伴い、次のような「泣き」が出てきます。

怒り泣き成長とともに、怒りの感情が出てくる。
気に入らないことを伝えるために、泣いて訴える。
要求を通したい泣き思い通りにならない気持ちを、泣いて訴える。
不安、後追い、人見知り泣き成長に伴い、いつも世話をしてくれる人と、そうでない人を見分けるようになる。
親がいない時の不安や、知らない人がいる時の不安を泣いて訴える。

このように月齢が進んで成長するにつれ、
赤ちゃんが泣く理由は増えていきます。

後追いや人見知りは親とそれ以外の人を区別し、
親への愛情が芽生えてきた証拠でもあります。

赤ちゃんが泣くと親は戸惑うこともあるかもしれませんが、
喜ばしいことでもあるのです。

笑う

赤ちゃんは、新生児の時から笑顔を見せてくれます。

新生児の頃に見せるこの笑顔は、
空腹が満たされていたり、
おむつがきれいで気持ちよかったり、
心地よく感じている時に、
口の端を少し上げて微笑む時に見られます。

しかし、これは楽しかったり、面白かったりして見せる笑顔ではなく、
生理的に反応する「新生児微笑」と言われるものです。

たとえ生理的な反射であっても赤ちゃんのかわいらしい微笑みは、
新生児のお世話に明け暮れている養育者に、
束の間の癒しを与えてくれるものです。

そのため、この新生児微笑は、

「かわいい」
「愛情を込めてお世話してあげよう」

と、養育者が思うように促しているとも考えられています。

赤ちゃんの笑顔も成長とともに発達していき、
生後2、3カ月ごろになると
あやしてくれる人や見慣れた人に対して微笑むなど、
他者との関係の中で自発的に笑顔を見せるようになります。

これを「社会的微笑」と言います。

4カ月ごろになると、
声に出して笑ったり、大きく口を開けて笑うようになります。

6カ月〜1歳になって人見知りが始まると、
養育者や慣れている人には笑顔を見せますが、
知らない人や見慣れない人には、
顔をこわばらせたり目そむけたりするようになります。

そのほかのコミュニケーション

新生児期〜2カ月

赤ちゃんのコミュニケーションは、「笑う」「泣く」だけではありません。

まだ言葉を発せなくても、
五感を活用して世界を感じようとしています。

例えば、養育者が発する声のトーン、
表情や視線、触られた時の感触などを通じて、
相手のことを感じています。

そして生後2カ月ごろになると、機嫌が良い時に「あー」「うー」「くー」など、
言葉ではなくのどの奥を鳴らすような音を発するようになります。

これを「クーイング」と言います。

言葉で会話ができなくても、
赤ちゃんは養育者に反応してもらうと嬉しいものです。

赤ちゃんの様子を見て、
真似してあげたり「楽しいね」と言ったりして、
優しく声をかけてあげると良いでしょう。

6カ月ごろ

このころになると、喃語を発するようになります。

最初は「あーあー」「うー」から始まることが多く、
そのうちに「だあだあ」「ぶー」など、
子音と母音を組み合わせた言葉を発するようになります。

同じ言葉を何度も繰り返して、
自分の耳でも聞いて楽しんでいるのです。

1歳〜1歳半ごろ

「まま」「まんま」など、
初めて意味のある言葉を話すことを、「初語」と言います。

初語は一般的に1歳ごろが多いです。

初語を発すると養育者は嬉しいものですが、
その後、1歳半ごろまで言葉の増え方は一般的に緩やかになります。

個人差はあるものの、1歳半を過ぎると、
語彙力が急激に増える時期がやってくるので、
初語の後にすぐに言葉が増えなくても心配する必要ありません。


次のレッスンでも、乳児期の発達の続きを学習していきます。