
前回までのレッスンでは、
年代ごとの子どもの発達について学習をしました。
それぞれの年代には、それぞれの発達や特徴があり、
成長が嬉しい反面、対応が難しくなることもありましたね。
Lesson3では子どもと具体的にどのように接したら良いかを学び、
子育てのヒントを得ましょう。
条件付き接し方/無条件の接し方
親は無意識のうちに、「条件付きの接し方」をしているケースがあります。
条件付きの接し方とは、
子どもの行動をコントロールするために、
大人が期待するような行動をした時には愛情(褒美)を与え、
そうでない時には愛情を与えないことです。
この接し方は、短期的には効果があり大人の思い通りになるものの、
長く効果は続きません。
また、親が望む行動をとらなければ愛してもらえないと子どもは感じるようになり、
親の機嫌をうかがって行動する子になります。
この反対が、「無条件の接し方」です。
これは子どもの行動がどうであっても、
変わらずに愛情を注ぐ接し方です。
また子どもの問題行動の理由を考え、
気持ちに寄り添います。
Lesson3では「ほめる」「しかる」について解説しますが、
それには「無条件の接し方」をすることが大前提であることを、
頭に入れておきましょう。
ほめる

まずは、「ほめる」に焦点を当てて解説します。
「ほめて伸ばす」という言葉もありますが、
子どもはただほめれば良いわけではありません。
例えば、
「すごいね!」
「上手だね!」
「さすがだね!」
実はこのようなほめ方には問題があります。
例えば、子どもが描いた絵に対してただ「上手だね」と言えば、
子どもはほめてもらえなければ自信が持てなくなり、
ほめられるような絵を描こうと思うようになります。
また、何の努力もしていないのに「上手だね!」と言われてしまうと、
がんばる必要性も感じません。
ほめる時のポイント
①ほめる理由をはっきり伝える
「上手だね」と一言で言われてしまっては、
どこが上手なのか、すごいのかが子どもに理解できません。
例えば、
「細かいところまできれいに色がぬれたね」
「時間をかけて丁寧に絵が描けたね」
と、その絵のどこが良いのかを具体的に伝えてあげましょう。
また、できて当たり前のことでも具体的にほめると、
子どもはその行動を増やし、自尊心を高めることもできます。
「クレヨンをちゃんと箱に片付けることができたね」
「お行儀よく座っていられたね」
②結果よりも努力したことをほめる
これも、子どもをほめる時に大切なポイントです。
大人は結果にばかり注目しがちですが、
それよりもそこに至るまでの過程を見てあげてください。
例えば徒競走で1番を取ったなら、「足が速いね!」とほめる代わりに、
「一生懸命練習して、1番を勝ち取ったんだね」
というようなほめ方をしてあげましょう。
③上べだけのほめ方をしない
ほめ言葉が嘘かどうかは、
大人でなくても、子どもであっても見抜けます。
大人のほめ方がおおげさだと、
子どもはその大人に疑問を持つようになります。
また、ポイント②でも、努力したところを知らない(見ていない)のに、
適当に「努力してすごいね」などと言うと、
それは誠実さに欠けます。
大人は子どもに対して何か声をかけなければいけないと思って、
適当なほめ言葉を言ってしまいがちです。
しかし、子どもは大人からの評価を期待しているのではなく、
何かを成し遂げた時や嬉しいことがあった時に、
親などの身近な大人とそれを共有したいだけなのです。
だから子どもにはいつも誠実に向き合いましょう。
時にはギュッと抱きしめてあげたり、
目が合ったらニコッと笑顔を向けてあげたりと、
そんな「ほめ方」でもいいのです。

◎良いほめ方、×NGなほめ方
お手伝いをしてくれた時
◎お手伝いしてくれたから、早く終わって助かったよ。
◎自分で考えて行動できたね。
×さすがおねえちゃん(おにいちゃん)だね。
トイレができた時
◎トイレでするとパンツが濡れないから気持ち良いね!
◎早めにトイレを教えてくれてありがとう。
×すごいね!
試合で勝った時
◎たくさん練習したから勝てたんだね。
◎ボールを投げるフォームが、前よりもきれいだったよ。
×強いね!
テストで良い点をとった時
◎この問題の答え方、丁寧でわかりやすいね。
◎テスト前に、ちゃんと復習ができたからだね。
×頭良いね!
ほめる+α
ほめることにプラスして、
子どもに質問をしてみましょう。
質問する時は、「うん」「ううん」で答えられる質問ではなく、
会話が続くような質問が良いでしょう。
上のほめ方の例の「テストで良い点を取った時」は、
「どの問題が一番難しかったの?」
「何でそこが難しかったの?」
本当にすごければ、「すごい」もOK!
ここまで、「おおげさにほめない」「適当にほめない」
ということを解説してきましたが、
育児をしていれば「本当にすごい」「本当に感心してしまう」
という場面にも遭遇するでしょう。
そう言う時は無理に気持ちを抑えずに、
「すごいね」「感心するな」と素直に伝えても大丈夫です。
次のレッスンでは「しかる」について解説します。

