
このレッスンでは、「しかる」について解説をします。
しかる
しかる=罰を与える
と思っている大人は多いかもしれません。
罰というのは体罰のみならず、
怒鳴ったり、無視をしたりなども含まれます。
これはいわゆる昔からある子育ての方法ですが、
罰を与える子育てでは、
子どもは罰を受けても、反省をしません。
言うことを聞かないからとおもちゃを取り上げたり、
無視をしたりしても、
子どもは全然気にしていない、ということも多々あります。
つまり罰を与えても、大人が期待する効果が得られないのです。
そればかりか親子関係が悪くなったり、
子どもが大人になった時に力で物事を解決しようとしたりすることも
ありえます。
しかる時のポイント
それでも、「しかる」ことは子育てにおいて必要です。
上手なしかり方にはどのようなものがあるでしょうか。
①何がいけないのかを説明する
これは前回のレッスンで学んだ「ほめる」と同じです。
例えば、子どもが道で急に走り出したとしましょう。
ここでただ「だめだよ!」と言っても
子どもは何でだめなのかわからず、反省することができません。
とっさのことで「だめ!」と口に出してしまうのはわかりますが、
それをグッとこらえて「なぜだめなのか」
理由をしっかり伝えてあげましょう。
「急に走ると、人にぶつかったりして危ないよ」
「〇〇君だけじゃなくて、人にもけがさせちゃうから、
急に走るのはやめようね。一緒に手をつないで歩こうね」
②結果に対してしからない
子どもが良くない結果を出した時に、
大人はその結果にこだわってしまいがちです。
例えばテストで悪い点を取ったとしましょう。
「全く、こんな点を取って・・・本当に頭が悪いんだから」
と言いたくなってしまう気持ちもわかります。
しかし、もしあなたがこう言われたら、
次はがんばろうという気持ちになりますか?
子どもは、能力を否定されるとやる気をなくします。
何がいけなかったのか、どうしたら次は良い結果が得られるか、
一緒に考えるような声がけをしましょう。
「あまり良い結果ではなかったんだね。
次のテストでは、どうしたらもっと良い点が取れるかな?」

③子どもを頭ごなしに否定しない
しかる時に、「うるさい!」「だめ!」「なんてひどいことするの!」
と頭ごなしにしかると、
子どもは「責められた」と感じ、
言い訳をしたり、逆に攻撃をしてきたりといった反応をすることがあります。
すると、なぜその行動が良くないのかを話すチャンスがなくなってしまいます。
ここで効果的なのは、「わたしメッセージ」です。
わたしメッセージとは、自分を主語にして気持ちを伝える方法です。
例えば、「部屋を片づけなさい!」と言う代わりに、
「部屋がきれいだと(わたしは)気持ち良いんだけどな」という伝え方です。
「わたしメッセージ」を子どもに伝える時には、
ポイントがあります。
それは、次の4つをメッセージに入れることです。
- 子どもの行動
- 自分や周囲の人への影響
- 自分や周囲の人の感情
- 提案
例えば、子どもがおもちゃを出しっぱなしにしていたとしましょう。
「わたしメッセージ」では、次のように伝えます。
遊んだ後におもちゃが散らかっていると、←子どもの行動
掃除機がかけられなくて、←自分や周囲の人への影響
ママは困るなあ。←自分や周囲の人の感情
おもちゃを使う時のルールを、一緒に考えようか。←提案
ここで重要なのは、
「困るな」の後に、「だから片づけて」とは言わないことです。
どうしたら次は同じことが起こらないようにするのか、
子どもに一緒に考えてもらいましょう。
また、「わたしメッセージ」に見せかけてそうではないものもあります。
「〇〇ちゃんが遊んだおもちゃを出しっぱなしにするせいで、
ママはイライラするな」
一見「わたしメッセージ」ですが、
これではただ子どもの行動を批判しているだけです。

◎良いしかり方、×NGなしかり方
飲み物をこぼしてしまった時
◎こぼさないようにするにはどうしたらいいかな?
◎ここに置くと手が当たってこぼしやすいから、
テーブルの真ん中に置こうね。
×またこぼした!何で気をつけないの。
お店で「買って!」とだだをこねる時
◎お買い物のお手伝いをしてくれると嬉しいな!
◎必要なものを買って早く家に帰れたら、
夕飯の準備が早くできるから助かるよ。
そしたら夕飯の後、一緒に遊べるね。
×だめって言ったでしょ!
帰ってくるのが遅い時
◎遅くなると心配になるよ。
門限までに帰ってきてくれると安心だな。
×門限すぎてるよ!
子どもを怒鳴ってしまいそうになったら
子どもが良くない行動を取った時、
イライラして怒鳴ってしまうことは、
誰でもあると思います。
でもそんな時に試してほしい、効果的で簡単な方法があります。
それは、深呼吸をして息を深く吐き、落ち着くことです。
すると、不思議なほど冷静になって子どもと話すことができます。
ぜひ試してみましょう。

