
生活の場面では、
親から子どもに対して指示をしなければならない場面が多くあります。
そこでこのレッスンでは、
どのように指示・命令をしたら良いかについて学びましょう。
上手に伝えれば、
親が子どもにやってほしいことを、
子どもにわかりやすく伝えることができます。
命令・指示する時のポイント
提案する(間接的命令)
子どもにしてほしいことを、「命令」で伝えるのではなく、
「提案」で伝えることができます。
これが間接的命令です。
「〜しなさい」と命令されるよりも、
子どもは素直に受け入れやすくなります。
例)
命令:部屋を片づけなさい。
提案:部屋をお掃除したらどうかな?
命令:手伝いなさい。
提案:お手伝いしてくれたら嬉しいな。
命令:座りなさい!
提案:椅子に座った方がいいよ。
ただし、この方法は子どもに選択権を与えるため、
子どもが提案を受け入れない可能性もあります。
子どもが提案を受け入れなかったとしても、
親は叱ることはできません。
命令する(直接的命令)
「提案」は言い回しがやわらかいですが、
子どもに絶対に言うことを聞いてもらわなければならない場面では、
直接的に命令することが必要なこともあるでしょう。
直接的命令は、間接的命令とは異なり、
子どもに選択権はありません。
はっきりとした命令なので、
子どもは「言うことを聞かなければならない」とわかり、
混乱しなくてすみます。
例)
帰宅後に、靴が出しっぱなしの時
→靴を片づけなさい。
お菓子を食べすぎている時
→お菓子を食べるのをやめなさい。

否定形での命令を避ける
親が子どもに命令する時、
「〇〇してはいけない」「〇〇はだめ」
と、子どもの行動を否定・批判してしまうケースがよく見られます。
「いけない」と言うと、子どもは自分の行動が間違っていて、
それを注意されていると気づくことができますが、
それではどう行動したら良いのか、というところまではわかりません。
そのため、「〇〇してはいけない」と言う代わりに、
「〇〇して」と伝える方が効果的です。
例)
×走っちゃダメだよ!
◎危ないから手をつないで歩いてね。
×歩きながら食べたらいけないよ!
◎椅子に座ってテーブルで食べてね。
×服を脱ぎっぱなしにしたらいけないよ。
◎脱いだ服は洗濯かごに入れてね。
具体的に伝える
子どもに指示や命令をする時は、
あいまいな言葉よりも、
子どもがすぐに理解できるように、
なるべく具体的に言いましょう。
例えば、一般的にとてもよく聞く、
「良い子にしていなさい」というのは、
とてもあいまいな表現です。
どのような子が「良い子」かは、
人それぞれ認識が異なります。
大人も、「良い子にしていなさい」という時は、
それを言う場面によって子どもに期待する行動が異なるのでは
ないでしょうか。
例えば、病院の待合室でいる時は、
「静かに座って待つ」のが良い子でしょう。
だから、「静かに座って待っていてね」と伝えるべきです。
子どもを祖父母に預けて、お留守番をお願いする時はどうでしょうか。
「良い子で待っていてね」と言われたら、
「元気にたくさん遊んでいれば良いんだな」
と子どもは思うかもしれません。
それよりも、
「おじいちゃんおばあちゃんのお手伝いをしてあげてね」
「おうちの中では静かに遊んでいてね」
と伝えた方が、より具体的で子どももわかりやすいのです。

直接的命令をするのは最小限に
命令をされてばかりで、良い気分になる人は大人でもいません。
それは子どもも一緒です。
子どもに直接的命令をするのは、
日常生活で本当に必要な場面だけ(危険な場合など)
にとどめた方が良いでしょう。
それ以外は、間接的命令など、
やわらかい表現で伝えるようにします。
例えば、
「テーブルを片づけなさい」と言う代わりに、
「テーブルを片づけてくれたら、助かるな」
というように。
命令や指示の仕方について解説しました。
ちょっとした言葉の使い方を知っているだけで、
子どもへの伝え方がスムーズになることがあります。
子どもに命令や指示を出す場面は日常生活で多いと思いますので、
今回学んだポイントを意識して使ってみてください。
また、子どもが素直に言うことを聞いてくれた時は、
たとえ小さなことやできて当たり前のことであっても
「ありがとう」「嬉しいな」と伝えてあげましょう。

